81 にっこり笑顔の裏には何かある
(こちらはAbandon様のお題をお借りして書いたものです。会話描写のみです)
● 今日は何が目的で？
「ひいいいいっ部長が開始三十分前に音出ししてる…っ」
「んだよわりいか副部長」
「だ、だっていつも本当に部長なのかと思われるほど遅刻早退当たり前。合奏だけはちゃんと出てしかも完璧に吹くあんたがどうして真面目に？！」
「……お前、良い度胸だな。よし、ちょっと準備室に面貸せ」
「い”ッ！？」
「また部長と副部長やってる」
「あーあ副部長半泣きだよー」
「あれは誰でもいじめたくなっちゃうよね」
「部長嬉しいそうだし。―なんていうか…」
「「おおかみとうさぎッ」」
● 見たくない聞きたくない！
「…で、副部長。なんで壁にはりつく」
「いや無理勘弁して」
「まだ何も言ってねえよ。ちなみに、おまえに拒否権はなし」
「この俺様ーっ！！」
「あん？」
「やーっ近づかないでいやいやいやーっ！！」
「……良い度胸だな、副部長？」
「はーなーしーてーっ！腕痛いッ」
「嫌だね」
「この野郎…ッ」
● その微笑みが出たら最後。
「…いつまで私は壁際でいじめられなきゃなんないの」
「俺が飽きるまで？」
「後輩ちゃん達呼ぶわよ」
「鍵閉めた」
「てめええ！！」
「…ってえ…おまえまじでひざ蹴りしたな」
「だってマジだものッ」
「ふーんじゃあこっちもマジで行くけど？」
「ひっ！！出た…っ」
「は？何が」
「最凶スマイル…ッ」
● 最凶スマイル保持者。
「俺はごく普通に笑ってるだけだぜ？何を怯えることがある」
「あんたがそういう風に笑ってるときには絶対何かあるのよ！！」
「お。いつもにぶいくせにこういうときだけは勘の鋭い」
「三年間も馬鹿にされ続けたら嫌でもわかるわよっ」
「だってお前馬鹿じゃん。何もないとこで転ぶ。教科書を逆さのまま読もうとする。三年にもなって教室を間違える。それから…」
「ぎゃああああっ！事細かにならべんでもよろしい！」
「な？馬鹿だろ？」
「いちいちねちっこく覚えてるなんて、気持ち悪いわよ部長っ」
「人の記憶に残るような馬鹿をさらしてる副部長が悪い」
「いい加減ひとを解放しろーっ」
「暴れんなよ。スカートの中身見えるけど」
「…ッうぐ…」
「よしよし。大人しくなったな」
「…さっさと用件済ませたほうが早く終わることに気づいたの」
● 眩し過ぎて目が、目が！
「成長したなー馬鹿副部長」
「馬鹿馬鹿言わないで。…いいかげんそのスマイル消してくれない？」
「なんで。かっこいいだろう」
「頭大丈夫？あんたの微笑みは相手に畏怖を与えるんだよ馬鹿野郎！」
「眩しいとは言われるんだけどねえ」
「ひいっ自分で自覚してるっ。知ってる？そういうのナルシストっていうのよっ」
「別に？親がくれた顔が整ってたって話だけど」
「ねえ、半端なくむかついてくるから用件すませてくれない？」
「ああ、そうだな」
● 命令じゃなくてお願いなのに。
「お前、俺と付き合ってくれねえ？」
「は？ど」
「どこに、とかいう今時ベタなネタはやめような？」
「…じゃあ、いずこに」
「…お前馬鹿？」
「ごめんなさい。わたし寝不足で頭がおかしいみたい。もう一度おっしゃってくださる？」
「………おかしいのはいつものことだろうけどな。俺と付き合って」
「………いやあああッ！！」
「拒否権はないって言ったろ？」
「そういうのは命令するもんじゃないのよっ」
「命令じゃなくてお願いなのに？」
「拒否権ないなら命令もお願いも一緒だとおもいます部長」
「そうか？」
「そうかじゃねえええっ！！」
● 裏側を知っているからこそ。
「…お断り、したいんだけど…」
「駄目」
「駄目じゃなああいっ！私の意志も尊重しろっつてんのっ」
「じゃあなんで。理由聞かせろよ」
「だって、冗談でしょ？」
「…は？」
「日頃の部長の行いから見て、冗談としか思えない。つか冗談だろ」
「副部長」
「からかわれるのには諦めたけど、たちが悪いわよ」
「ちょっと待てよ」
● 笑顔じゃないシーン。
「いきなり笑顔消すな怖いばかーっ」
「さっきから笑顔が怖い真顔が怖いうるっせえんだよ副部長ッ」
「もうっ充分でしょ。解放してよ」
「嫌」
「離して」
「俺と付き合え」
「だから、無理だって」
「なんで無理なの」
「本気じゃない告白に付き合ってる暇はナッシングー」
「…目が据わってるぞ」
「それじゃあそういうことで。………離してよ」
「嫌だね」
「…ッはなしてったら！」
● 恐怖が勝つ一瞬。
「……」
「……」
「……」
「……」
「なあ、泣いてんの？」
「泣いてなんか…ないっ」
「じゃあお前の目からたれてるのなに？」
「鼻水」
「…きたねえ。おい、離すから。だけど、行くな」
「……これ以上からかってどうする気よ」
「なあ俺ってそんなに信用ないのか？」
「うん」
「即答かよ。どうしたらいいわけ？俺、本気なんだけど」
「…ッだって…たち悪いよ」
「は？」
「…私が、部長のこと好きだって知ってて、わざと…やってるんでしょ…っ」
「………」
「もういい加減離し…っ」
● 心の奥底でも笑ってる？
「…ぶちょう…？」
「なんだよ」
「わたしは離してって言ったのに、なんで抱きしめるの。逆よ逆」
「あのさあ」
「…、っ…」
「俺はお前が好きだって言ってるの。わかる？部活以外でも一緒にいたい」
「な…だから、」
「本気だよ。…ごめん。言い方悪かったな」
「急にやさしくなるなーっ！」
「じゃあどうしろっつんだよ。とにかく、お前俺のこと好きなんだろ？」
「……嫌い」
「その顔じゃ信じられねえな。…かなり俺嬉しいんだけど？」
「…ッ、し、しらない…」
「意地っ張りだねえ」
「部長の普段の行いが悪いのよっ」
「それはお前も悪い」
「な…、―――んッ」
「拒否しなかったな？」
「な、な、な…っ」
「というわけで、俺とお前は彼氏と彼女」
「そん…っ」
「お前、これ以上抵抗したらここで食うぞ？うさぎめ」
「…は…？」
「万事解決。よーし戻るぞー」
「ま、まって…手…手！後輩ちゃん達に見られるッ」
「いまさらだろ。筒抜けだろうし」
「……、〜〜〜〜〜〜ッ！！ばか部長ーーーっ！！」
◇一言感想 このままでも喜びますv一言のお返事は日記にて。